この風のむこうから… 今日も、のほとけの囁きが聞こえてきます… 

防野宗和の「のほとけの散歩道」へ、ようこそ!!

故 岡本由貴子さん

ありがとう ありがとう ありがとう… と囁いてくれた…アナタ…

在りし日の岡本青琴(由貴子)さん

 ゆく者日々に疎しとか。青琴氏が逝って早や三年。
この度、ご家族様の要請もあり百之会が主体となり、世話人会を立ち上げ作業にかかりました。数多い作品の中からの選定、撮影との一連の工程の中で、それぞれの思い入れが甦り目頭の熱くなるのは隠せず、作品の上にポタリ…。
 正義感が強く、曲がった事には一切の妥協は許さず、その上強情で涙もろく、口泡をとばしながら議論を交わしてはハッパをかけられたものでした。
 その反面「酒」の雰囲気が好きで、その頃見つけた居酒屋へよく行ったもの。仕事帰りの職人さん達と対等にダミ声を上げて楽しそうでした。特に「日展」の帰り、ジャンジャン横町の風情が気に入り、嬉しそうに「また来ような」と杯を重ねたのも懐かしい思い出です。  平成21年五月
 と、岡本さん、いや由貴ちゃんの遺作展開催に際し、当時の百之会事務局長・山口酔岳氏が、岡本青琴遺作集に寄せた後書きの抜粋である。
 酒と書を、いえいえ「書」と酒^^を愛した繊細さの中に豪快さを抱いた人、そんな由貴ちゃんの遺作展を企画し、山口酔岳氏を中心に準備がすすめられていたのですが、その山口氏が体調を崩し入院 (今は、とても元気ですヨ^^)。そして病室から「後のことは一切頼む」と…。

後のことを一切頼まれて^^…皆で協力しあって^^… そして…

 遺作集の編纂、遺作展の準備が整い、いよいよ展示準備の朝、私は由貴ちゃんの作品を積み込むため、岡本さんのお宅に向かった。その道中である。突然、由貴ちゃんの囁きが聞こえてきた。

「ありがとう ありがとう ありがとう」と……

 涙が溢れて…「由貴ちゃん…前が見えなくて運転ができないから、先に会場へ行っててよ…」

 遺作展会期中、見ていてくれたよね…、我々が粗相しないようにと。気配りの人だったから、我々の様子が心配だったでしょう。いつも後ろで気遣いをする人でしたから…、遺作展開催にも、「余計な事を……」とお思いだったでしょう。でも皆は、作品を通して、もう一度アナタに逢いたかった。

 由貴ちゃんの、一の親友だった前田純子さんは、こう寄せている。(遺作集より抜粋)
 あなたとの、これからはないけれど、沢山の思い出が私の宝物となりました。
そして今、私はあなたの遺作展のお手伝いをさせて貰っています。驚く程の沢山の作品をみて、あの時のこと…、この時のこと…、を思い出して、あなたと対話しているのです。
 由貴ちゃん、逢いたいヨー。逢って、あの駅前の居酒屋で「書」の話しをしたり、巷間の噂話しに花を咲かせ、あの鰯の天ぷらでおいしいお酒を飲みたいヨー。
 最後に由貴ちゃん、あなたに会えてホント良かった。
 また会う日まで、さようなら。                平成21年五色月

 誰からも愛された人でした。そして、誰よりも由貴ちゃんを愛した、ご主人の岡本圭司さんには、遺作集・遺作展の準備、そして会期中と、とても良くしていただいた事、感謝でいっぱいです。
 いつもの仲間は、相変わらずいつもの様に、酒杯を傾けています。そして、そんな席にいつも居た由貴ちゃん^^、いつもの席で、いつもの様に、一緒に酌み交わしましょう。
 
 
----------------------------------------------------------------------------岡本青琴(由貴子)遺作集より

 心華/絶筆

 
 よき日には…  山陰に…
 
 朝には海辺に…  青山白水
 
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落款

岡 本 由 貴 子( 青 琴 )おかもと ゆきこ(せいきん)

昭和14年1月5日/和歌山市に生まれる(旧姓・宮脇由貴子)
昭和26年3月/和歌山市立西山東小学校卒業。昭和29年3月/和歌山市立西山東中学校卒業。昭和32年3月/和歌山県立向陽高等学校卒業。昭和32年4月/和歌山県庁農林部林政課。
昭和35年10月/岡本圭司氏と結婚。昭和35年11月/和歌山県庁橋本土木出張所。
昭和36年4月/和歌山県立笠田高等学校事務職員。昭和37年4月/和歌山県立伊都高等学校事務職員【伊都高等学校在職中より政本遂之 (故人) に師事する】 平成8年 3月/和歌山県立伊都高等学校事務職員退職。
平成19年7月/永 眠。

橋本市展審査委員(書の部) 紀北文人会会員 創峰会会員 水茎会会員
和歌山県展入選 橋本市展/特選 優秀賞等 多数

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岡本青琴(由貴子)遺作集
●発 行/平成21年5月15日 ●発行者/岡本圭司
●題 字/山口正博 ●協 力/前田純子 諏訪原恵子 北村友美 ●編 纂/防野宗和 

岡本青琴(由貴子)遺作展
●会 期/平成21年5月15日〜17日 ●会 場/橋本市教育文化会館
●主 催/百之会 ●後 援/橋本市文化協会・水茎会・橋本市美術家協会

-----------------------------------------------------------------------------------------------------2010.6

岡本青琴(由貴子)遺作集への、防野宗和の寄稿。

手 紙
  よもやこんなに早く、岡本さんの遺作展のお手伝いをする事になろうとは思いもしなかった。
 百之会設立の折り、はじめて岡本さんのお宅にお邪魔をして、お話しをさせていただいた事が昨日のように思い出されます。あれから百之会展と共に二十年近くご一緒させていただいた。
 その間、一度だけ岡本さんからお手紙をいただいた事がある。私の仕事の上での事。取引き先が倒産して、間近に迫った百之会展どころではなかった頃にいただいた一通の手紙。
「のほとけさんが見守って下さいますよ。いつまでも、素敵なのほとけさんを描き続けて下さい」と。その一節が心を楽にしてくれ乗り切れた。力強い作品の深奥にある、優しさに溢れた岡本さんへの感謝と共に、描いたのほとけに、
「あなたがいるからあたたかい」を添えた。
 岡本さん、いや由貴ちゃんが逝って丸二年。遺作集の作品撮影の日に仲間が集った。それぞれの顔を見れば、いつも酒席に居合わせた面々。
 ご主人の圭司さんが、今は一人住まいのお宅で、いそいそとお茶を…お菓子を…と、馴れるはずもない盆を持ち、快く向かえてくれました。
 写真と言えば、圭司さんの専門にもかかわらず、素人同然の我々が撮影をするのですから、さぞやご心配いただいたのでは…。いえ、心配いただいたのは、圭司さんだけではなさそうだ。岡本さん宅の庭に出てカメラを構えたその時に、サワサワと風が出て作品が揺れ出した。皆が「由貴ちゃん心配して、どこからか見てるんだわ…」
 そう、この風の調べは由貴ちゃんの囁き。風の向こうで微笑んで眺めている。まずはこの遺作展で、見る者を魅了する作品と共に、貴女と再会が叶う。
 そしていつか、酒の席にいつもの仲間が集いましょう。そんな時、由貴ちゃん、貴女にも酒宴の招待状を風に乗せて届けましょう。
 サワサワと、風と共に表れる貴女を、皆で待っていますから。

                  平成二十一年写月
                           百 之 会  防 野 宗 和

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